断熱を超える、遮熱工法の家が脚光を浴びつつあります
遮熱工法と断熱工法は、住宅の温熱環境をコントロールするために
使用される技術ですが、それぞれ大きく異なる特性と効果があります。
遮熱工法の魅力や、断熱工法の問題について詳しく説明します。
1. 遮熱工法の基本原理:熱を反射して室内に入れない
遮熱工法では、アルミシートなどの遮熱材を使用して、
外部からの熱エネルギーを反射し、室内への熱の侵入を防ぎます。
太陽の直射日光によって屋根や壁が受ける赤外線(熱線)の多くを反射し、
熱が建物内部に伝わらないようにします。
この技術の価値は以下の点にあります:
- 夏場の熱侵入を防ぐ効果が高い
太陽光の赤外線を反射し、室内の温度上昇を効果的に抑えます。 - 特に、断熱材のように熱をため込む特性がないため、
- 建物自体が過熱しにくいのが特長です。
- 逆に冬場は室内の温かい熱が室外に出ない
- 反射の機能があります。
- 熱の90%以上を反射可能
遮熱材の表面に施された反射層が、ほぼ100%近い赤外線を跳ね返すことで、 - 室温の上昇を抑制します。これは断熱材では難しい性能です。
2. 断熱工法の原理と課題
断熱工法は、グラスウールや硬質ウレタンフォームなどの断熱材を使用し、
熱の伝わりを遅くする仕組みです。
断熱材は熱をため込む特性があり、
内部への熱伝導を軽減することで温度の安定化を図ります。
ただし、以下の課題があります:
- 熱を吸収してから放出する
日中に外からの熱が断熱材に吸収され、 - 夜間に室内へと放出される現象が起こります。
- このため、夜間でも室温が下がりにくいことがあります。
- 外部からの熱そのものをカットしない
- 断熱材は熱の伝導を遅らせるだけで、
- 熱エネルギー自体を反射するわけではないため、
- 外部からの熱を完全に防ぐことはできません。
3. 遮熱工法の大きな価値:室内環境を安定化する
遮熱工法の価値は、熱を物理的に反射することで、
建物自体が熱を溜め込まない構造になる点にあります。
以下に具体的な利点を挙げます:
① 夏場の冷房負荷を大幅に低減
遮熱工法を採用した住宅では、外部からの熱侵入が抑えられるため、
室内の温度上昇を未然に防ぎます。
これにより、冷房に必要なエネルギーが削減され、
光熱費の削減と省エネ効果が得られます。
② 建物の寿命を延ばす
建物が高温になることを防ぐことで、
壁材や断熱材の劣化を抑えられます。
特に、屋根や外壁が過熱しないため、建材の劣化スピードが遅くなり、
長期的なメンテナンスコストの低減につながります。
③ 夜間の放熱を防ぐ
断熱工法では熱を吸収して溜め込む性質があるため、
夜になるとその熱が室内に流れ込んでしまう問題があります。
一方、遮熱工法は昼間に熱を反射して溜め込まないため、
夜間の放熱がほとんど起きません。
これにより、夜間も快適な室内環境が保たれます。
④ 断熱材と組み合わせた高性能な住環境の実現
遮熱工法は、断熱工法と組み合わせることでさらに効果を発揮します。
遮熱材が熱を反射して侵入を防ぎ、断熱材が残りの熱を遮ることで、
トータルで高い温熱性能を持つ住宅を実現できます。
これにより、冬場の温かい部屋の断熱性も確保されます。
4. なぜ遮熱工法が今注目されるのでしょうか?
遮熱工法は特に日本の気候に適しています。
日本の夏は高温多湿で、日中の熱による室温上昇が深刻な課題となっています。
このような気候において、遮熱工法は直接的に室内環境を改善し、
省エネルギーと快適さを両立できる画期的な工法と言えます。
また、現代の住まいではSDGs(持続可能な開発目標)や環境意識が高まり、
省エネ性能の高い住宅が求められています。
遮熱工法を取り入れることで、冷暖房によるエネルギー消費を減らし、
環境に優しい住宅を実現できる点でも価値があります。
5. 結論:遮熱工法で未来を見据えた住環境を
遮熱工法は、従来の断熱工法では対処しきれない部分を補い、
夏の高温対策として非常に効果的です。
建物の長寿命化や快適性の向上だけでなく、
冷房負荷の軽減を通じた光熱費削減、省エネルギーの実現が可能です。
遮熱工法を採用することで、
より住みやすく、環境にも優しい住宅を提供することができます。
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