規格外の家
プレハブ住宅で、和室を作る例です。
プレハブ住宅は、一定の品質が確保されていて、ある意味、安心は安心なんです。
でも、「洋室」は問題ないですが、本当の「和室」にする場合は工夫が必要で、その対応も「いくつかの対応方法「、「価格に応じた選択肢」があります。
この例は、例によって、Dハウスのプレハブ住宅の全体82坪の内、15坪を完全な「真壁」という木造の和室にしたものです。築22年で若干、衰えは見えますが。
「大壁」「真壁」についてですが、
「大壁」というのは、一般の洋室で、壁にクロスや珪藻土を塗ったりした壁で、「柱」が見えないものです。
「真壁」というのは、木造の家では普通なんですが、「和室」の場合は、「柱」が露出します。
この「柱」が、プレハブでは、普通に建てられずに悩ましいのです。壁に鉄骨が入ってるのですから。
この施工例は、8帖続き間の柱は4方向が見えている4寸角の「柱」ですが、この中に鉄骨の60ミリ角の柱が内蔵されています。鉄骨の柱の周囲に極厚の桧集成材で囲い、さらにその集成材の表面は、通常は1ミリ程度の貼物の化粧をするのですが、「質感」が許せないので、5ミリほどの厚い桧材を貼ったものを現場に入れて、現場で、鉄骨にまいた「柱」にしてから、カンナでツルツルに磨いたものです。こうすると、「本物」との違いはほとんど判りません。
左手に見える障子ですが、この外には、1.5間の窓が2連で並んでいます。この障子はその両袖に引き込むと、1.5間の窓が全開になるものです。普通の引違窓にすると、開口幅の半分しか開きません。・・・庭を全開で見たいこだわりです。
その反面、障子の敷居が3本溝になり、壁が分厚くなり、室内が狭くなります。ここは、1間幅の広縁ですので、あまり気になりません。
この広縁の奥に「出書院」があるなど、いろいろな工夫がありますが、また、後日、ご説明します。
大工さんとの合作で、その大工さんの能力や考えを聞きながらするもので、図だけではなかなかできません。
例えば、この大工さん、奈良市大安寺の「石州屋住宅」の小川棟梁は、かの有名な奈良市の東大寺の傍の「日吉館」という、知る人ぞ知る旅館の指定の大工さんです。
今は、日吉館は廃業でありませんが、皇室御用達のNホテルより人気の由緒ある旅館で、この旅館に携わるというだけで、地元の人には評価されるもので、この大工さんは茶室など多くの作品があります。
ランドマークでの家づくりは、このような大工さんとの顔の見えた家づくりです。
でも、さすがの大工の棟梁も、私のような設計者なしでは仕事ができません。
この、両社の組み合わせに妙があります。