新仕様の一つとして、検討のシラス壁
奈良県で、家づくりをするランドマークです。
家の1階床に「桧」などの天然木材をオプションとしてお薦めしていますが、
それは、人と共存していた樹木ですから、人と樹木とは親和性が高いはずで、
ご家族の健康を考える上で、滞在時間の長いリビングには検討したいものです。
次に、その観点から、前々から気になってましたのが、火山灰のシラスです。
太古の昔から、同じ地球にあって、火山と人とは共存してきました。
このたび、高千穂の火山灰であるシラスを建材に開発された、高千穂シラス(株)の
原料の採取場所や、工場の生産過程を確認したく、九州山田工場に出張しました。
鹿児島空港に日帰りで行きますので、早朝の関西空港発の便になり、
例によって、夜半に、貝塚の清児の湯につかり、体を休めて、強行軍に備えます。
そして、十分に休息して、関西空港へ。・・・・連絡橋に入ります。
往路は、眼下に四国の山々を見たく、右側の席をとりました。
今日は、やや雲が多いようですが、
高千穂連峰もしっかり見えて、天候に心配はないようです。
鹿児島空港からは、一番快適で経済的なのは、レンタカーの利用です。
九州山田工場は、高千穂とはいえ、鹿児島県でなく、宮崎県になります。
ところで、高千穂シラス社の方に、まず案内されたのが牧場です。
昔から、牧場経営者は、なんとなく「シラス」台地で、さらに牧場にシラスを撒いて
きたとのことですが、それは、シラスがにおいを強力に吸う効果があることを
経験的に知っていたかららしいのです。
その証として、見せられたのが、この実験キット。
強烈なアンモニアを含む綿を、片方にはシラスを入れた瓶での比較です。
不思議なくらい、シラスを入れた瓶には、アンモニア臭がしないのです。
いきなり、その消臭効果を見せつけられましたが、
まず、採取場所から順に見ていくことに。
シラスは、この地の人々には厄介ものでした。
使い道がないのに、雨になると、崩れて処分するにも広大な地面を覆い、
非力な人には悩ましいもの以外の、何者でもないとのことです。
それが、今や、シラス壁の材料になるのです。
<一般的ではなく、高千穂シラス社が製品化したものに限りです。>
上は、外壁用の分厚い「そとん壁」ですが、私のお目当てはそれではありません。
この内装用の「薩摩中霧島壁」や「中霧島壁ライト」です。
普通に、内装に使え、私どものランドマークの家に使いやすいものです。
火山灰の特徴のその多孔質で、においや湿気を強力に吸うもので、
内装用の薄い壁、「中霧島壁」というシラス壁は、一般の家に最適です。
この霧島山の天然の恵みとも言えます。
アンモニアなど、人間の生体から発生したり、食べ物などの臭いなどを
劇的に吸収します・・・・先ほど見せられた、消臭体験キットでもよくわかります。
さらに、私が一番気に入ったのが、そのローテクぶり。
採掘して、粉砕したシラスの乾燥は、農業用のプラスチックハウスの中で天日干し。
時々、トラクターで撹拌して数日間乾かすだけ。
それを近くの農家がほかの材料と混ぜて、
本社工場に持ち込み、顔料を添加して、色合いを出し、袋詰めするだけです。
近傍の農家の副業にも貢献して、ローテクなのは、心地よくほほえましく見え
ます。
その、シラスをふんだんに使った「シラス洞窟の家」も見学することに。
壁。天井にこれでもかと、シラスを使った家ですが、
調湿(吸湿)効果を肌で感じます。
ここまで、使わなくても、私たちの一般の家のリビングには使いたいものです。
10年前の家でも、食事後の臭いの吸収効果は落ちないようです。
天然のローテク素材は良いところばかりではありません。
左官屋さんには、乾燥が早く、塗りにくいものらしいのです。
それが、ある意味、良いところなんですね。
あまり、化学薬品で加工せずに、使いずらいが、人に優しい素材と言えます。
今日、貴重な一日を割いていただいた、高千穂シラス(株)の山口さん。
ありがとうございました。
とても、豊かな気持ちになり、帰途につきます。
いつもここに来るたびに思うのですが、宮崎から鹿児島へのこの高原の道は
快適なドライブをさせてくれます。